中央学術研究所
未来のために”今”を考える
中央学術研究所とは

行事のお知らせ

研究所刊行物

佛教根本聖典

明日への提言

研究所周辺地図

お問い合わせ

HOME
Page: 1 | 2

環境の世紀「足るを知る」
町田 勝(グリーンブルー(株)常務取締役)

 21世紀について、ほのかに意識したのは、小学生の頃であったと思う。人それぞれに色々な思いを巡らし、新しい世紀を待ち望んだものと想像される。その期待した世紀が現実に到来し、すでに半年が過ぎ去り、さまざまな感じ方をされたものと思われる。
 新技術の世紀、バイオの世紀、心の世紀、環境の世紀などと21世紀が語られている。私は過去25年間、環境保全の仕事に関係してきているが、環境を行っている人に言わせると国内に限らず海外でも21世紀は「環境の世紀」であると誰しも言う。勿論、私もその意見に賛成であり、そのために仕事を続けてきたし、今後も同じように生きていくつもりである。しかし、環境の世紀は明るく輝いて発展するものではなく、むしろ困難が多く、生活習慣を大きく変えることを覚悟しなければならない状況になると予想される。
 例えば、20世紀末にオランダのハーグで行われた国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6・ハーグ会議)は、1997年に合意したCOP3・京都議定書(日本が議長国)の具体的なルールを決める会議であった。残念ながら日本・アメリカ・カナダの共同で提出されたCO2の吸収源の追加的活動条項を巡った議論の結果、多くの国の利害が複雑に絡み合い、全体の合意形成にはほど遠い状況だったように感じられた。さらに、今年に入りアメリカが一方的に、京都議定書の交渉から離脱し別のルール作りを目指すことを発表し、全世界を慌てさせた。その収束のために、COP3の議長国であった日本の環境大臣も世界を駆け巡り、京都議定書の削減ルールの堅持に努めている。
 では、ほんとうに21世紀が「環境の世紀」になり得るのか、幾つかの事例を通してその可能性を確認する。

 第一に、環境関連法律の公布が思い浮かぶ。1945年以降に公布された環境関連法律を検索すると、大きく2回の波がある。1回目は1960年代の高度成長期に発生した公害問題の対策のために1967年(昭和42年)に公布された公害対策基本法に続き、1970年の公害国会、1971年の環境庁設置時期であり、各方面の努力により公害問題は大幅に改善された。その後、温暖化、酸性雨、オゾン層破壊等の地球環境レベルの問題になり、世界全体で環境維持を行うために1992年にリオ地球環境サミットが行われた。そして、サミットの翌年に公布された環境基本法に始まり、第2回目の公布ラッシュが続き現在に至っている。この時期に公布された法律は、改正省エネ法、改正リサイクル法、循環型社会形成推進基本法、ダイオキシン対策法などで、一人一人が被害者であり、即、加害者にも成り得る極めて難しい判断と行動を含んだものである。まさしく、20世紀の最後の数年間は、人々が環境保全のための活動を開始することを見据えた法的な条件を整える準備の期間であった。
 第二に、環境保全に対する意識の変化がどの程度行われているかである。2001年1月時点での日本規格協会、ISO-Worldの調査結果によると、ISO 14001の認証を取得した企業や自治体の数は日本国内のサイトの総数で5,338件(4月現在6,261件)であった。勿論、この数字は世界でトップの数字であり、2位のドイツ2,400件、3位の英国1,400件を大きくリードしており、日本の企業や自治体が積極的に環境保全に取り組む姿勢が伺える。ISOとは、International Standardization Organization(国際標準化機構)の略、国際規格を作る機関で、法的な強制力はないが事実上は国際統一規格になっている。この中に、環境管理の国際規格としてISO 14001があり、1996年(日本国内は1998年)から認証が開始された。企業や自治体が、通常の活動から生じる環境への影響を、自主的、継続的に改善していくための運営方法や仕組みで、基本はPDCAサイクル(P計画、D実施、C点検是正、A見直し)を活用して、環境保全活動を行うことにある。
 第三に、環境教育や環境学習の取り組みや市民による環境保全活動が上げられる。その中で、環境教育の役割は益々高まり、持続可能な社会を作り上げていくためには欠かせないものになってきている。文部科学省の1998年に告示された学習指導要領(改正)で、2002年度より、小学3年生以上に「総合的な学習の時間」が設定されている。この時間には例として、国際理解、情報、環境、福祉・健康などが上げられている。そして、環境を取り上げる学校の数が増加するのではないかとの見方がある。その対応に向け、各省でも単独ではなく横断的な動きが行われてきており、2001年度の予算では、経済産業省、環境省、文部科学省などが共同で環境教育に取り組む施策を展開する予定で進んでいる。
 一方で、市民の環境保全活動を支援する体制整備の充実が欠かせない。環境保全に関する専門的知識や豊富な経験を有し、その知見や経験に基づき市民やNGO、事業者などの様々な立場で、環境保全活動に対する助言など(環境カウンセリング)を行う人材として、1996年(平成8年)から環境省の行う審査を  経て環境カウンセラーとして登録する制度がスタートした。1996〜2000年の5年間での登録人数は、市民部門が941名、事業者部門が1,624名、合計で2,565名になっている。環境省は、これらの登録された環境カウンセラーを有効に活用することによって、環境保全活動の推進を計ろうとしている。この制度は各地方自治体でも活用されており、各地に環境カウンセラーの集まりが出来ており、活発な活動が展開されつつある。